育成就労で外国人材を受け入れたい企業様へ
技能実習制度は廃止され、育成就労制度が始まります。施行日は令和9年(2027年)4月1日です。
育成就労は、特定技能1号の水準まで外国人材を育てることを目的とした制度です。技能実習が「国際貢献」を目的としていたのに対して、育成就労は人材の育成と確保を正面から目的に掲げています。
受入企業にとって、実務がどう変わるのかをご説明します。
受入企業がすることは「育成就労計画の認定」です
育成就労法第8条第1項は、育成就労を行わせようとする個人・法人は、育成就労の対象となる外国人ごとに育成就労計画を作成し、出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に提出して認定を受けることができる、と定めています。
「外国人ごと」です。 3人受け入れるなら、3件の計画を作ることになります。
育成就労計画に書く事項(第8条第3項)
- 申請者の氏名・名称・住所(法人は代表者の氏名)
- 法人の役員の氏名及び住所
- 育成就労を行わせる事業所の名称・所在地
- 対象となる外国人の氏名及び国籍
- 単独型か監理型かの区分
- 従事させる業務、その業務に要する技能、日本語の能力その他の育成就労の目標、内容、開始日・終了日
- 事業所ごとの育成就労の実施に関する責任者の氏名
- 単独型の場合は、監査を行う者の氏名
- 監理型の場合は、監理支援を受ける監理支援機関の名称・住所・代表者の氏名
- 報酬、労働時間、休日、休暇、宿泊施設、食費・居住費その他の待遇
- その他主務省令で定める事項
第4項により、認定の基準に掲げる事項を証する書面などを添付します。申請には実費を勘案して主務省令で定める額の手数料がかかります(第6項)。
監理型なら、監理支援機関の指導を受けて計画を作ります
第8条第5項は、監理型育成就労を行わせようとする申請者は「監理支援を受ける監理支援機関の指導に基づき、育成就労計画を作成すること」と定めています。監理支援機関の側にも、情報提供・助言・指示その他の指導を行う義務が置かれています。
そして第9条第1項第8号により、その指導を受けた監理支援機関から監理支援を受けることが、認定の要件になっています。 計画を作った監理支援機関と、実際に監理支援を受ける監理支援機関は、同じである必要があります。
認定の基準(第9条第1項)
主な要件は次のとおりです。
| # | 基準 |
|---|---|
| 1 | 従事させる業務に要する技能の属する分野が、育成就労産業分野であること |
| 3 | 育成就労の期間が3年以内であること |
| 4 | 育成就労を終了するまでに、修得した技能と日本語の能力の評価を行うこと |
| 5 | 育成就労を行わせる体制と事業所の設備が主務省令の基準に適合すること |
| 6 | 事業所ごとに育成就労の実施に関する責任者が選任されていること |
| 8 | 監理型の場合、計画の作成について指導を受けた監理支援機関から監理支援を受けること |
| 9 | 報酬の額が、日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上であることその他の待遇が基準に適合すること |
| 10 | 同時に受け入れる人数が主務省令で定める数を超えないこと |
| 11 | 送出機関の取次ぎを受ける場合、外国人が送出機関に支払った費用の額が基準に適合すること |
「報酬は日本人と同等以上」は、条文に明記された認定の要件です。 満たせない条件で計画を作ることはできません。
細目は主務省令に委ねられています。 受入人数の上限、体制・設備の基準、日本語能力の水準などは省令で定まりますので、申請の際は公表されている省令・要領でご確認ください。
いちばん大きな変更点:本人の意向による転籍が制度化されました
受入企業にとって、技能実習からの最大の変更点はここです。
育成就労法第8条の2第1項は、育成就労外国人は、育成就労実施者の変更を希望するときは、書面をもってその旨を申し出ることができると定めています。申出先は、監理型であれば受入企業・監理支援機関・出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣のいずれかです。
そして、申出を受けた側には手続の義務が置かれています。
- 受入企業(監理型):申出を受けたら、遅滞なく監理支援機関に通知する(第8条の2第3項)
- 監理支援機関:申出または通知を受けたら、遅滞なく出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に届け出る(同条第6項・第7項)
- 受入企業(単独型):申出を受けたら、遅滞なく出入国在留管理庁長官及び厚生労働大臣に届け出る(同条第2項)
申出を受け取らない、握りつぶすという扱いはできません。 届出・通知は法律上の義務です。
転籍が認められる要件(第9条の2)
ただし、申し出れば当然に移れる制度ではありません。転籍先での新たな育成就労計画の認定には、次の要件があります。
| # | 要件 |
|---|---|
| 2 | 育成就労の期間が、従前の期間と通算して3年以内(延長されている場合は4年以内)であること |
| 3 | 従事させる業務に要する技能と分野が、従前の計画と同一であること |
| 4イ | 同じ受入企業での就労期間が、1年以上2年以下の範囲内で主務省令が定める期間を超えていること |
| 4ロ | 修得した技能と日本語の能力が主務省令で定める基準に適合していること |
| 4ハ | 転籍先が、育成就労の実績・育成に係る費用の負担能力などの基準に適合していること |
4の要件には、ただし書があります。 主務省令で定めるやむを得ない事情があると認められるときは、イ〜ハの適合は求められません。
つまり、受入企業から見た構図はこうなります。
- 一定期間(省令で定まる。1〜2年の範囲)が経過し、技能と日本語の要件を満たせば、本人の希望で他社へ移ることがありうる
- やむを得ない事情がある場合は、その期間を待たずに移ることがありうる
- 移り先は、同じ分野・同じ技能に限られる
「一度受け入れれば3年間動かない」という前提は、育成就労では成り立ちません。 待遇と育成の中身が、そのまま定着率に効く制度設計になっています。
いま技能実習を行っている場合は、どうなりますか
施行日にいきなり止まるわけではありません。
改正法附則第9条第1項は、施行日前に認定を受けた技能実習計画に基づき、施行の際に現に行っている技能実習について「なお従前の例による」と定めています。第2項では、施行日から3か月を経過する日までに始まる技能実習の認定申請も、同様に扱われます。
さらに第3項により、その技能実習を修了した方について、次の段階(第1号を修了した方、および第2号を修了した方のうち主務省令で定めるもの)の技能実習の認定申請も、従前の例によることとされています。
受入企業として確認すべきは、次の3点です。
- いま受け入れている実習生は、いつまでの計画になっているか
- 次の受入れを、技能実習の枠組みで始めるのか、育成就労で始めるのか
- 監理団体に委託している場合、その監理団体は監理支援機関の許可を取る予定か
3点目は特に重要です。監理団体の許可は、監理支援機関の許可に自動では引き継がれません。 監理支援機関としての許可を新たに受ける必要があります。委託先の意向を早めにご確認ください。
施行日前申請は、すでに始まっています
改正法附則第5条第1項により、育成就労計画の認定は、施行日前でも申請できます。
| 手続 | 状況(2026年9月時点) |
|---|---|
| 監理支援機関の許可(施行日前申請) | 2026年4月15日から受付中 |
| 育成就労計画の認定(施行日前申請) | 2026年9月1日から |
| 育成就労制度の施行 | 2027年4月1日 |
※窓口は外国人技能実習機構です。
なお、施行日前申請の申請書や添付書類に虚偽の記載をして提出した場合、30万円以下の罰金が定められています(改正法附則第5条第9項)。法人に対しても同額の罰金が科されます(同条第10項)。
分野と送出国の確認を、早めに
分野ごとに準備の進み方が違います
育成就労では、分野ごとに分野別運用要領と審査基準が定められ、分野別協議会への加入が必要になります。2026年9月時点の状況は次のとおりです。
| 項目 | 公表・開始済みの分野 |
|---|---|
| 分野別運用要領 | ビルクリーニング/リネンサプライ/工業製品製造業/自動車整備/鉄道/物流倉庫/外食業/林業/木材産業 |
| 審査基準 | リネンサプライ/物流倉庫/林業 |
| 分野別協議会等への加入手続 | リネンサプライ/ビルクリーニング/工業製品製造業(一般社団法人工業製品製造技能人材機構=JAIMへの入会)/自動車整備/鉄道/林業/木材産業 |
ここに載っていない分野は「受け入れられない」という意味ではありません。 公表・準備が進んでいる途中です。上記は動きますので、申請前に出入国在留管理庁・分野所管省庁の最新の公表状況をご確認ください。
送出国によっては「推薦状」が必要です
二国間取決めのうち、推薦状を発行することとされている国については、申請時(施行日前申請を含む)に、送出国の公的機関が作成した推薦状を対象者ごとに提出する必要があります。
2026年9月時点で推薦状の発行対象とされている国:インドネシア/カンボジア/キルギス/ベトナム/ラオス
※監理型育成就労のうち、取引上密接な関係を有する外国の機関の職員を受け入れる場合、および単独型育成就労の場合は除きます。
推薦状は送出国側で取得するものなので、時間がかかります。 上記の国からの受入れをお考えの場合は、早めに手配を始めてください。
育成就労から特定技能1号へ
育成就労は、特定技能1号の水準まで育てる制度です。育成就労を終えた方が特定技能1号へ進めば、引き続き就労していただくことができます。
当グループは登録支援機関として登録を受けています(登録番号:登20-004723)。 特定技能1号の外国人への支援は、受入企業に義務づけられていますが、登録支援機関に委託することができます。
- 育成就労計画の認定、在留資格の申請取次 … 行政書士法人LSRコンサルティング
- 特定技能1号への移行後の支援 … 当グループが登録支援機関としてお受けできます
受入れから特定技能への移行まで、窓口を分けずにご相談いただけます。
費用
育成就労計画の認定は、受け入れる人数・分野・単独型か監理型かによって作成する書類が変わります。 お見積りをお出しします。
在留資格の申請(在留資格認定証明書交付申請など)の報酬は、料金のご案内をご覧ください。
※上記のほか、認定の手数料(主務省令で定める額)が実費としてかかります。
ご相談ください
育成就労での受入れ、いま行っている技能実習の取扱い、特定技能への移行について、初回1時間のご相談を無料で承っています(ご来所・オンラインとも)。
奈良・東京の2拠点で、在留資格の申請取次(行政書士法人)と、法人設立・増資の登記(司法書士法人)を、当グループ内で一貫してお受けできます。
※お電話での無料相談は承っておりません。お申し込みはお問い合わせフォームからお願いいたします。
在留資格・特定技能のご相談
奈良・東京で在留資格の申請取次を行う行政書士法人です。登録支援機関(登録番号:20登-004723)として、受入企業からのご相談も承っています。
初回のご相談は1時間無料です(ご来所・オンラインとも)。
※お電話での無料相談は承っておりません。お申し込みは上のフォームからお願いいたします。




