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登録支援機関に委託すると、受入企業は何をしなくてよくなるのか

特定技能1号の外国人材を受け入れる企業は、その方への支援計画を作成し、計画のとおりに支援を実施する義務があります。この支援業務は、登録支援機関にその全部を委託することができます

ただし、委託すれば会社の手がすべて離れるわけではありません。委託できる仕事と、会社にしか果たせない義務がはっきり分かれています

この記事では、法令が定める支援10項目について「委託先がすること」と「会社に残ること」を分担表にし、あわせて届出と費用の考え方を整理します。

行政書士法人LSRコンサルティングは、登録支援機関として登録を受けています(登録番号:登20-004723)。実際に支援を行っている側から、分かれ目になる点をご説明します。

支援は「やってもよいこと」ではなく、義務です

出入国管理及び難民認定法(入管法)は、特定技能1号の外国人材と雇用契約を締結しようとする企業に、支援計画の作成を義務づけています(第2条の5第6項)。そのうえで、第19条の22第1項が次のように定めています。

特定技能所属機関は、適合一号特定技能外国人支援計画に基づき、一号特定技能外国人支援を行わなければならない。

支援の実施は、同条第2項により契約で他の者に全部または一部を委託できます。このうち「全部の実施の業務」を委託により行う者として出入国在留管理庁長官の登録を受けたものが、登録支援機関です(第19条の23第1項)。

「全部の委託」でなければ、みなし規定は働きません

受入企業は、支援計画を適正に実施できる体制をもつことが求められます(第2条の5第3項第2号)。この点について、同条第5項が次のように定めています。

特定技能所属機関が契約により…登録支援機関に適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合には、当該特定技能所属機関は、第三項(第二号に係る部分に限る。)の規定に適合するものとみなす。

ここが実務上いちばん大きな分かれ目です。 「一部だけ委託する」場合、このみなし規定は働きません。支援体制の基準を自社で満たし続けることになります。「送迎と同行だけ外に出す」といった部分委託は、負担が減ったように見えて社内の体制要件がそのまま残ります。

なお、支援が適正に行われていないと認められるときは、指導・助言(第19条の19)や改善命令(第19条の21)の対象になります。委託していても、命令の名宛人は受入企業です。

支援計画に書かなければならないこと

支援計画の記載事項は、「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(平成31年法務省令第5号)第3条第1項が定めています。

記載しなければならない事項
第1号 支援の内容(後述のイ〜ヌの10項目を含むもの)
第2号 全部の実施を登録支援機関に委託する場合は、その登録支援機関の登録簿記載事項と委託契約の内容
第3号 一部の実施を他の者に委託する場合は、相手方の氏名・名称・住所と契約の内容
第4号 支援責任者と支援担当者の氏名・役職名
第5号 分野ごとに、所管する行政機関の長が告示で定める事項

支援計画は、日本語と、その外国人材が十分に理解することができる言語の両方で作成し、写しを本人に交付します(同条第2項)。委託先が原案を用意する場合でも、作成と交付の主体は受入企業です。

また同省令第4条第3号により、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・相談苦情対応・定期面談は、その外国人材が十分に理解することができる言語で実施することとされています。

分担表:会社がやること/登録支援機関がやること

支援10項目は、同省令第3条第1項第1号イ〜ヌが定めています。全部を登録支援機関に委託した場合の分担は、次のとおりです。

支援項目(省令第3条第1項第1号) 委託先(登録支援機関)がすること 会社に残ること
イ 事前ガイダンス 在留資格認定証明書の交付申請前(変更の場合は変更申請前)に、雇用契約の内容・日本で行える活動・上陸と在留の条件などを説明 説明の材料になる雇用条件そのものを決めること。労働条件通知書の確認、実施日時の調整
ロ 出入国の送迎 入国・出国する港または飛行場での送迎 入社日・受入れ日の確定、寮や社宅の受入れ準備
ハ 住居の確保・生活に必要な契約 賃貸借契約の保証人になるなど住居確保の支援、銀行等の口座開設・携帯電話の契約などの支援 社宅・寮を会社が用意する場合はその手配。保証人を誰が引き受けるかを契約で決めること
ニ 生活オリエンテーション 入国後(変更後)に、生活一般/行政機関への届出/相談・苦情の窓口/理解できる言語で受診できる医療機関/防災防犯と緊急時/法令違反を知ったときの対応を説明 就業規則・社内ルール・通勤経路の説明。これは支援ではなく雇用主としての説明で、委託の対象外です
ホ 公的手続への同行 住民届出などの手続に必要に応じて同行し、書類作成を補助 役所は平日開庁のため、その時間に行けるよう勤務を調整すること
ヘ 日本語学習の機会の提供 日本語教室の情報提供、教材の案内、入学手続の補助 受講の時間を確保すること。費用を外国人材に負担させることはできません(同省令第2条第1項第8号)
ト 相談・苦情への対応 職業生活・日常生活・社会生活の相談や苦情を、理解できる言語で遅滞なく受け、助言・指導その他必要な措置をとる 労働条件・配置・処遇に関する回答は会社しか出せません。 委託先から上がった相談への対応
チ 日本人との交流の促進 地域行事の情報提供、参加の手続の補助 参加できる勤務シフトの調整
リ 転職支援 本人の責めに帰すべき事由によらず契約を解除する場合に、公共職業安定所や職業紹介事業者等を紹介し、次の受入れ先で活動できるようにする支援 人員整理を決めるのは会社です。 離職票の交付、雇用保険・社会保険の手続、有給休暇の付与
ヌ 定期面談・行政機関への通報 支援責任者または支援担当者が、本人とその監督をする立場にある者の双方と定期的に面談。労働関係法令違反などを知ったときは労働基準監督署等へ通報 面談の時間を就業時間内に確保すること。現場の管理者が面談に応じること

分担表を読むときの注意

「委託先がすること」の欄は、会社が無関係になるという意味ではありません。 支援計画の名義人は会社であり、実施されていないときに指導・改善命令を受けるのも会社です。

実務で行き違いが起きやすいのは、ホ(同行)・ヘ(日本語学習)・チ(交流)・ヌ(面談)の4つです。いずれも就業時間との調整が必要で、会社が時間を出さなければ委託先は動けません。委託契約を結ぶときに、この4つの時間の扱いを決めておくと後の食い違いが減ります。

委託しても会社に残る仕事

1. 雇用契約の適正な履行

前述の入管法第2条の5第5項のみなし規定は、第3項第2号(支援計画の適正な実施)に係る部分に限られています第3項第1号の「適合特定技能雇用契約の適正な履行」は、委託しても会社に残ります。

具体的には、次のような事項です(同省令第1条・第2条第1項)。

会社が満たし続けること 根拠
報酬が、日本人が従事する場合の額と同等以上であること 省令第1条第1項第3号
所定労働時間が、通常の労働者と同等であること 省令第1条第1項第2号
一時帰国を希望した場合に、必要な有給休暇を取得させること 省令第1条第1項第5号
契約終了後の帰国旅費を本人が負担できないときは会社が負担し、円滑な出国に必要な措置をとること 省令第1条第2項第1号
健康その他の生活の状況を把握するために必要な措置をとること 省令第1条第2項第2号
報酬を口座振込など、支払額を確認できる方法で支払うこと 省令第2条第1項第12号
労働・社会保険・租税に関する法令を遵守していること 省令第2条第1項第1号
支援に要する費用を、直接にも間接にも外国人材に負担させないこと 省令第2条第1項第8号

2. 定期届出・随時届出

受入企業には、出入国在留管理庁長官への届出義務があります(入管法第19条の18)。

随時届出は、雇用契約の変更・終了・新規締結、支援計画の変更、委託契約の締結・変更・終了、受入れが困難となった場合などに必要です(同条第1項)。事由が生じた日から14日以内に、地方出入国在留管理局へ提出します(入管法施行規則第19条の17第2項)。

定期届出は、同条第2項に基づくものです。入管法施行規則第19条の18第3項により、毎年5月31日までに、その年の前年4月1日から当年3月31日までの期間について提出します(2026年9月9日時点の規定)。

委託によって減るのは、このうち「支援計画の実施状況」の届出です。 入管法第19条の18第2項第2号は、届け出るべき事項として支援計画の実施状況を挙げたうえで、次のように括弧書きで除いています。

(契約により第十九条の二十七第一項に規定する登録支援機関に適合一号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託したときを除く。)

ただし会社を素通りするわけではありません。 登録支援機関自身の支援業務実施状況の届出は、入管法施行規則第19条の24第1項により、委託した受入企業を経由して地方出入国在留管理局へ提出することとされています。会社にも書類が回ってきます。

3. 分野別協議会への加入

特定技能の受入れは、分野ごとに、所管する行政機関の長が法務大臣と協議のうえ告示で定める基準にも適合する必要があります(同省令第2条第1項第13号・第2項第7号)。分野別協議会への加入は、この分野ごとの基準として求められているものです。

加入するのは受入企業自身であり、登録支援機関に代わってもらうことはできません。 加入の窓口・時期・要件は分野によって異なります。ご自身の分野の取扱いは、業種別のご案内をご覧ください。

費用の考え方(受入人数と支援の頻度で変わります)

支援の委託料は、一律ではありません。次の要素で変わります。

変わる要素 なぜ変わるか
受入人数 事前ガイダンス・生活オリエンテーション・定期面談は原則として一人ずつ実施します
事業所の数 支援担当者は事業所ごとに1名以上必要です(省令第2条第2項第1号)
使う言語 支援の主要部分は、その方が十分に理解できる言語で行います(省令第4条第3号)
面談・同行の頻度 役所や医療機関が遠いと、同行1回あたりの時間が長くなります
委託の範囲 全部委託か一部委託か。一部委託では自社の支援体制も維持することになります

見積もるときは、「月額いくら」だけでなく、入国前後に集中する費用(事前ガイダンス・送迎・住居の確保・生活オリエンテーション)を別に見ておくと、実際の資金繰りに近づきます。1年目と2年目以降では、かかる手間が違います。

そして支援に要する費用は、直接にも間接にも外国人材に負担させることができません(同省令第2条第1項第8号)。給与から差し引くことはできず、会社の費用として見込みます。

当法人の報酬額は、料金のご案内の「登録支援機関に関する業務」の欄に掲載しています。受入人数と事業所の状況をお伺いしたうえで、お見積りをお出しします。

自社で支援する場合に必要な体制

委託せずに自社で支援する場合、会社は同省令第2条第2項の基準を満たし続ける必要があります。

必要な体制 根拠
過去2年間に就労系の中長期在留者の受入れ・管理を適正に行った実績、または、その生活相談業務の経験がある役員・職員がいること 第2項第1号イ・ロ
支援責任者1名と、事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること(支援責任者は支援担当者を兼ねられます) 第2項第1号
その外国人材が十分に理解できる言語で支援を行える体制があること 第2項第2号
支援の状況に係る文書を作成し、雇用契約の終了の日から1年以上、事業所に備え置くこと 第2項第3号
支援責任者・支援担当者が、その外国人材を監督する立場にない者であること 第2項第4号
本人と、その監督をする立場にある者との定期面談ができる体制があること 第2項第6号

見落とされやすいのは第4号です。 現場でその方を直接指揮する管理者を支援担当者にすることはできません。相談・苦情を中立に受けられる立場の人であることが求められるためで、「現場のことが分かる人=支援担当者」とはならない点に注意が必要です。

自社で登録支援機関になることをお考えの場合は、登録支援機関の登録申請をご検討されている企業様へをご覧ください。

まとめ

支援は義務です(入管法第2条の5第6項・第19条の22第1項)。委託できるのは支援10項目の実施で、支援計画の作成と交付、雇用契約の適正な履行、届出、分野別協議会への加入は会社に残ります

一部だけの委託も可能ですが、その場合はみなし規定(同第2条の5第5項)が働かず、自社の支援体制を維持することになります。費用は受入人数・事業所数・言語・面談の頻度・委託の範囲で変わり、外国人材に負担させることはできません

特定技能の制度そのものについては特定技能とはを、2027年4月から始まる育成就労制度については育成就労で外国人材を受け入れたい企業様へをご覧ください。

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委託するか自社で支援するかのご判断についても、受入予定人数と社内の体制をお伺いしたうえで判断材料をお出しします。初回1時間のご相談を無料で承っています(ご来所・オンラインとも)。奈良・東京の2拠点で対応しています。

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